極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
女性は大きく息を吐き、胸を撫で下ろす。
「それは大切なものですよね。見つかってよかったです」
「本当にありがとう」
女性はイヤリングごと香奈の手を握った。とても柔らかくあたたかな手だ。
「私もここで、イヤリングを失くしたことがあったんです」
「そうだったのね。それで見つかったの?」
「はい、これなんです」
香奈は自分の耳を指差した。あのときと同じイヤリングを今日も着けている。
「まぁそう。素敵なイヤリングね。あなたも失くさずに済んでよかったわ」
「はい」
「本当にありがとう。心から感謝するわ。これからのあなたにたくさんの幸せがありますように」
女性は優しくそう言って穏やかに微笑み、背を向けた。
香奈も会釈を返して見送り、ビーチに向かう。
(見つかって本当によかった。結婚記念日のプレゼントなんて、本当に大切なものでしょうし)