極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 探し物は、意外と自分では見つけられないものなのかなと思いながら、白い砂に足を進める。海の景色も以前と全然変わらない。


 「昔に戻ったみたい」


 乾いた砂がパンプスの中に入り込んだため、思いきって脱ぎ捨てた。
 真昼だったら素足ではとても歩けないだろうが、夜の空気に冷やされた砂は体温と同じくらいだ。さらさらした感触が心地いい。

 このまま少し歩こうと、パンプスを片手に持ちながら波打ち際を横目にぶらぶらしていると、向かいから歩いてくる人影が見えた。

 (あの人もパーティーから抜け出したのかな)

 自分と同じ人がいると知り心強い。

 (そういえば前もそうだったな。海里さんもパーティーに嫌気が差してここにきたんだよね)

 そんなことを思い返し、寄せては返す波を眺める。

 その人との距離が縮まっていくのを視界の隅に捕らえながら歩き続けていたそのとき――


 「香奈?」
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