極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
「私は昔から綺麗なんです」
彼を真似てジョークにする以外にない。海里も笑ってくれたから成功だろう。
「相変わらず元気はいいみたいだ」
海里が香奈の足元に目線を落とす。
「あっ、これは……パンプスを脱いで歩いたら気持ちいいだろうなって思って」
「それでどうだった?」
クスクス笑いながら尋ねてきた。
「サラサラした砂が気持ちいいですよ。海里さんもやりませんか?」
「いや、俺はやめておく。一応大人だから」
「私だってもう大人です。でも、たまには遊び心が必要なだけで」
あの頃は四つの年の差がとても大きかった。でも今は違う。もう子どもではないのだと言っておきたかった。
でもそれをわかってもらったところで、ふたりの関係に変化はないだろう。
唇を尖らせる香奈を見てさらに笑いつつ、海里がふたり共通の友人の名前を出す。