極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
その図書館こそ、香奈が幼稚園時代に憧れを抱いた場所である。子どもの頃からずっと通いつめ、無類の図書館好きだと館内の職員の間でも有名だった。
そしてまた、海里とたびたび一緒に過ごした場所でもある。
長年の夢が叶い、そこで司書として働ける日々は、香奈にとって大きな喜びだ。
「海里さんがあのときここで私の背中を押してくれたから、自信を持って突き進めたんです」
「〝私はできる精神〟?」
「はい」
海里に励まされなかったら諦めていたかもしれない。そうしていたら、今頃は父に根負けして花嫁修業とお見合い三昧だっただろう。
周囲のみんなが眉を顰めるなか、初めて共感してもらえたのはそれくらい大きな力だったのだ。
「で、次の夢がテーマパークの貸し切りってわけか」
「違いますっ」
それはただの例えである。
「そう? ……あっ、それ、あのときのだろう?」
海里の目線が、不意に香奈の耳元に移る。