極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 女の子は顎で切り揃えた髪を揺らして頷いた。


 この図書館では一カ月に一度、児童書の読み聞かせを開催している。職員が持ち回りで自分のおすすめ本を朗読する会である。


 「私、お姉さんがしてくれる読み聞かせが好きなんです」
 「えーっ、うれしい!」


 今いる場所を忘れて、ついはしゃいでしまった。
 女の子が自分の口元に人差し指を立て〝しー〟としたため、ふたり揃って笑い合う。

 そんな感想をもらったのは初めてのため、うれしくて仕方がない。


 「あのときの本ならこっちに」


 声はなんとか抑えたが、心は大きく弾む。香奈は小学校低学年向けの本が並ぶ書架へ案内し、棚からその本を取り出した。


 「これかな?」
 「あっ、これです。とってもおもしろかったから、妹に読んであげたくて」
 「優しいお姉さんなのね」


 本を抱えて微笑む表情に癒される。
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