極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
ふんわり香るアーモンドと、たっぷり入った滑らかなカスタードは絶妙の組み合わせだ。これなら何個でも食べられる。
「おねえちゃん、食べるの速い」
「だっておいしいから」
あっという間に完食し、紅茶でひと息つく。
「父さんのも食べるか?」
邦夫が、まだ手をつけていないシフォンケーキをテーブルの上で滑らせる。
「ううん、私はいいからお父さんが食べて。そのシフォンケーキ、この前食べたけどおいしかったよ」
「そうか? じゃあ遠慮なく」
フォークを持ち、ケーキを切り分けながら邦夫が続ける。
「ところで香奈、来週の日曜日は休みかい?」
「うん、公休」
休館日以外、職員は交代で休みを取っている。