極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
両親はそういう未来を危惧して、香奈に結婚を勧めるのだろう。
それは、なにより娘の幸せを願うからこそ。十年、二十年先の娘を心配するゆえだとわかり、お見合いを拒んできた頑なな心が少しずつ解けていく。
「香奈にも深優にも、お父さんみたいに素敵な人と将来を歩いてほしいの。お見合いだって立派な出会いの場でしょう?」
父に同意しながら母が続いた。
両親はお見合い結婚である。
呉服店を営む旧家で産まれた母は、家業の存続を賭けて父とのお見合いに臨んだそうだが、当日お互いにひと目惚れ。お見合いから大恋愛に発展した末の結婚だった。
「変な言い方をしてごめんなさい、お父さん、お母さん」
親の気持ちを踏みにじるような発言を素直に謝る。
「いや、香奈がそう言いたくなる気持ちもわかるからね。でも、せっかくいいお話をいただいたから、会うだけでもどうだい?」
「とっても素敵なお相手よ」