極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
「……だけど、その方だとお父さんの会社を継ぐのは無理じゃないかな」
娘の幸せが第一とはいえ、邦夫が後継者を望んでいたのも、また事実である。
「まぁそうだな。八雲さんもいろいろな会社を手掛けて忙しいだろうからね。たしかに難しいかもしれない。でも、それでもいいんだよ。香奈が素晴らしい方と結婚できるのであれば、それが一番さ。こんなにいい話はないから、ぜひともお受けしようじゃないか」
なんとしても海里との結婚を進めたいようだ。
これまでなかなかいい縁に恵まれず、香奈にものらりくらりとかわされ続けてきたため、ここで一気に決めてしまおうという意気込みをひしひしと感じた。
「……わかりました。そのお見合い、お受けします」
香奈の決意に、両親がぱぁっと顔を輝かせる。ハイタッチでもしそうな喜びようだ。
「決意してくれてありがとう。あとのことは、香奈は心配しなくていいからね。こちらで進めておくから」
「はい」