極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 海里と結婚するかどうかはべつとして、お見合いは両親の顔を立てるうえでも避けられない。香奈は顎をぐっと引いて頷いた。


 「香奈はやっぱり着物がいいかしら」
 「そうだな。ここぞという大事な場面だからね」


 いいお相手との縁談を待ち焦がれていた邦夫と由美子の興奮は、覚める気配がない。今から着付けの予約は取れるか、ヘアメイクはどうしようかという心配とは裏腹に、その表情は喜びに満ちている。


 「おねえちゃん、うちで夕飯食べていくでしょう?」
 「あ、うん……そうしようかな」


 ただひとり冷静な深優に尋ねられて頷いた。
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