極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
太陽の熱を溜め込んだ砂に足を取られながら、時折綺麗な色をした貝殻や珊瑚の欠片を手に取っては眺める。
「これ、かわいい。あっ、こっちも」
それまで風でならされていた砂浜に、不規則に足跡をつけていく。砂の上を気ままに歩くのは、息が詰まるパーティー会場より断然気分がいい。
貝殻をいくつも拾い集め、香奈は近くのデッキチェアーに腰を下ろした。
(パーティーが終わる時間までここで過ごしていようかな)
どのみち高校生の香奈には誰も用事がないから、支障はないだろう。
なんとはなしに自分の耳元に指先で触れ……
(あれっ?)
ハッとした。
「イヤリングは!?」
右の耳につけていたイヤリングがなくなっていたのだ。