極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
『図書館に着いてから食べよう』
そう言ったのにふたりで遠回りしたのは、もう少し一緒に歩いていたかったから。もちろんそれは香奈だけで、海里がどう思っていたのかは知らない。
戻ったときにどろどろに溶けたアイスを見て笑い合ったのが、つい昨日のことのように思い出される。
そうして図書館での逢瀬を重ねていたある日、香奈は街で偶然、海里と会った。しかも彼は、香奈が高校一年生のときのふたつ年上の先輩、岩井真司を連れていた。
真司とは図書委員がきっかけで仲良くなり、彼の卒業後もメッセージのやり取りをしたり一緒にカラオケに行ったりなど、親しくしている間柄であった。
香奈と真司がそうであるように、真司と海里は高校時代の先輩後輩であるうえ、現在通っている大学まで一緒だという。
それを知り、テンションはさらに上がる。海里との出会いは、もはや運命に約束されたも同然なのではないかと。
リゾート地で出会った彼と一カ月後に偶然の再会を果たし、共通の友人がいる事実は、香奈の心を大きく弾ませた。
それなのに、ふたりの関係性はいっこうに深まらず平行線のまま。知り合い以上友人未満の域をなかなか脱しない。