極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 それなのに唯一の繋がりである図書館に彼が来なくなった。
 もう二度と海里には会えないのかもしれない。そう悲観して焦り、バレンタインデーも迫る。
 悩んだ挙句、一縷の望みを託し、香奈はチョコを渡したいと真司に相談した。

 最初は勉強を教えてくれたお礼を口実にしたが、彼への想いは隠しきれなかったのだろう。真司に『それ、マジのやつだろ』と言われ否定できなかった。
 どうしたら海里に会えるか尋ねたが、このところずっと忙しくしているようだと言う。


 『俺から渡しておこうか』


 そう提案され、丸一日悩んだ。
 できれば直接渡したいが、卒業を控えて忙しくしているのなら邪魔はできない。自分の連絡先を忍ばせ、真司にお願いしようと決めた。どうか想いが届きますようにと強く祈りながら。

 図書館で過ごした日々が香奈を勇気づけ、自信を持たせる。
 もしかしたら、海里も少しは好意を持ってくれているのではないか。香奈のチョコを喜んで受け取ってくれたのではないか。
 浮ついた心で真司の報告を待ち焦がれた。

 ところがバレンタインデー翌日、真司からもたらされた残酷な結果に打ちのめされる。

 海里はチョコレートを受け取らなかった。
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