極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 翌週の月曜日、香奈は図書館で近々開催される、〝本の福袋〟という企画の準備に追われていた。

 子ども向けと大人向けに分け、〝独特の世界観〟〝スカッとする〟〝胸キュン〟〝考えさせられる〟など、職員が選んだテーマの本を三冊一セットにして中身が見えないよう福袋にしたものである。

 半年前に開催した催しで、利用者から『次はいつやるの?』と多数の問い合わせがくるほど好評だった。企画を考えた香奈も、俄然やる気が湧いてくる。

 普段、あまり意識していないつもりでも、同じ作者や似たような系統の話を偏って選んでしまうもの。今回はテーマに縛られず、どんな本が入っているかわからない、まさに〝福袋〟も用意している。自分の知らない本との出会いの場として、図書館を利用してもらいたい願いから作った企画なのだ。

 カウンターの奥にあるスペースで、さまざまな組み合わせの福袋が完成していく。
 香奈自身も読んだことのない本を職員が選んでいる場合もあり、あとで読んでみようと興味をそそられながら本を詰めていると、カウンターから凪子の声がかかった。


 「香奈ちゃん、お客様がお見えよ」
 「はーい」


 返事をしながら立ち上がると、凪子はどことなく意味深な笑みを浮かべていた。

 (なんだろう……?)
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