極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです～私、振られたはずですよね？

　「暑いねー」


　そう言わずにはいられない。さすがに真司が汗を拭っていただけはある。
　五月下旬でこの暑さだと、夏にはいったいどうなるのか。


　「マレーシアのクアラルンプールよりはマシだな」
　「あ、そうだよね」


　赤道に近い国に比べたら、まだまだ涼しいほうだろう。


　「いつもの店にしようか」
　「うん」


　真司の提案に頷く。職員ともたまに行くカフェ『夕凪(ゆうなぎ)』は、図書館から歩いて五分のところにある。看板メニューの焼きチーズナポリタンは、一度食べたら忘れられないおいしさだ。
　ちょうど混雑する時間帯のため、店内は大賑わい。香奈たちはカウンター席に案内された。


　「私は焼きチーズナポリタン」
　「またそれ？」
　「やっぱりここはそれでしょう」