極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 歩いているときには今日こそべつのものを食べようと考えているのに、いざメニューを前にすると決意は揺らぐ。すぐ後ろのテーブルでそれを食べているビジネスマンがいるのもよくない。一発でノックアウトだ。
 一度味わってからというもの、香奈がここで食べるのはそれ一択である。


 「じゃあ俺も」
 「なんだ、真司くんもじゃない」
 「隣で香奈が食べてたら後悔しそうだからな」


 結局ふたり揃っていつものメニューに落ち着いた。
 女性店員がカウンターの中から出してくれた水で喉を潤し、ひと息つく。ほどよく効いたクーラーの冷気で、早くも汗は引いた。


 「これ、お土産」


 真司はブリーフケースから取り出した小さな包みをテーブルに置いた。


 「わぁ、ありがとう! 開けてもいい?」


 彼から手で〝どうぞ〟というサインを送られ、遠慮なく開封していく。中から形も大きさも違うカラフルなパッケージが三つ出てきた。
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