極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
海里はアメリカに渡ったため、真司もその後のことはあやふやなのかもしれない。
「別れちゃったのかな……」
この前のパーティーのときに漏れ聞こえた、ふたりは結婚するという会話はなんだったのだろう。話の前後が繋がらなくて、香奈は相変わらず訳がわからない。
「真司くんも聞いてない?」
「うん、聞いてない。八雲さんがアメリカに行ってから連絡は取り合ってなかったし」
「そっか……」
アイスコーヒーをストローで忙しなくかき混ぜていた真司が、その手を止める。
「で、するのか? 見合い」
「両親は乗り気だしね。私に早く結婚してほしいらしいの」
「……内心、喜んでるだろ」
「ち、違うよっ。好きだったのは昔の話だもの。それに海里さんの意図だってわからないし」
必死に否定すればするほど、肯定しているように見られてしまいそうだ。
でも好きだったのは昔の話だと、自分に言い聞かせる。その恋はもう終わったのだと。