極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 その男性は、少し鋭さのあるアーモンド型の目を細め、訝しげに香奈を見た。


 「ここでなにを?」


 香奈の動きを不可解に思ったらしい。


 「イヤリングを落としてしまって……」


 もしかしたら探すのを手伝ってくれるかもしれないと、淡い期待が膨らむ。耳に触れながら答えると、男性は香奈のもういっぽうの耳を一瞥して続けた。


 「また買ってもらえばいいじゃないか」
 「……はい?」


 冷ややかな声で、思っていたものと違う言葉をかけられ混乱する。


 「優しい父親に買ってもらったんだろう? またそうしてもらえばいい」
 「えっ……」


 皮肉交じりの発言に面喰う。あまりにもびっくりしすぎて、言葉が喉の奥で貼りついた。香奈はケンカを吹っ掛けられたようだ。
< 9 / 292 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop