極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
その男性は、少し鋭さのあるアーモンド型の目を細め、訝しげに香奈を見た。
「ここでなにを?」
香奈の動きを不可解に思ったらしい。
「イヤリングを落としてしまって……」
もしかしたら探すのを手伝ってくれるかもしれないと、淡い期待が膨らむ。耳に触れながら答えると、男性は香奈のもういっぽうの耳を一瞥して続けた。
「また買ってもらえばいいじゃないか」
「……はい?」
冷ややかな声で、思っていたものと違う言葉をかけられ混乱する。
「優しい父親に買ってもらったんだろう? またそうしてもらえばいい」
「えっ……」
皮肉交じりの発言に面喰う。あまりにもびっくりしすぎて、言葉が喉の奥で貼りついた。香奈はケンカを吹っ掛けられたようだ。