極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?

 それは母親のほうも感じたようで、互いに見つめ合った数秒後――


 「あなた、あのときの!」


 彼女のひと言で思い出した。


 「イヤリング」
 「そうよ!」


 香奈が呟いた言葉に母親が強く同意する。
 この前のパーティーでイヤリングを落とした女性だ。


 「その節は本当にありがとう」
 「見つけられてよかったです」


 フレンドリーな笑顔を向けそうになり、慌てて表情を引きしめる。あのときとは状況が違い、今はお見合い相手の母親。とはいえ心の中は大騒ぎだ。

 (海里さんのお母様だったなんて……!)

 驚きすぎて、そのあとの言葉が続かない。


 「おや、ふたりは知り合いなのかい?」
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