極上CEOの執愛に今にも陥落しそうです~私、振られたはずですよね?
「香奈さんに寂しい思いはさせないよう努めますので、どうかご心配なさらないでください」
思わず彼を見たら、やわらかな笑みを返された。
その後も料理はゆっくりと給仕され、和やかなムードでお見合いは進んでいく。
最後の水菓子、イチジクのコンポートを食べ終えると、正一が定番の言葉を口にする。
「このあとは若いふたりで話してはどうでしょうか」
「そうですね。私たちがいたら話しづらいでしょうし」
邦夫の同意を受け、海里は香奈を見た。
「香奈さん、庭に出ましょうか」
「……はい」
誘いに応じ、彼に続いて立ち上がる。雪見障子を開けると、沓脱石の上に二足の履物が置いてあった。
先に下りた彼が、香奈に手を差し出してくる。一瞬どうしようかと迷ったが、背後から二組の両親の視線をひしひしと感じたため手を重ねた。
慣れない着物のため、正直助かる。彼の手に支えられ、履物を履いて庭に下り立った。