“至って普通”の平凡少女は嫌われ者のヴァンパイアに あくまで優しく愛される。
「…懐かしいなぁー」



私はそう呟いてページをめくる。

久々に部屋を片付けて出てきたこの本には
結構思い入れがあったり無かったり。


昔はこういうヒロインに夢を見ていた。

けれど所詮、おとぎ話はおとぎ話。


そろそろと本を仕舞おうとした時

階段の方から大きい足音が聞こえた。



「優由~?初日から遅刻する気ー?」


「っはーい、今行くー!!」



お母さんの大きな声が二階によく響いた。


私は急いで持っていたそれを本棚に仕舞うと

机の下に置いておいたリュックを勢い良く持ち上げ背負う


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