“至って普通”の平凡少女は嫌われ者のヴァンパイアに あくまで優しく愛される。
今日は転校初日。


しかも数少ないヴァンパイアとの共学校。

少しの緊張と少しの楽しみで胸がいっぱいになる。


階段を急いで降り、廊下を早歩きしていた時
足を滑らせて私は勢い良く尻もちを着いてしまった。



「うわぁっ!?」



痛った、足ひねったかと思った…

私は足首を抑えてしばらく悶絶する。



「優由ー、大丈夫?最近ここら辺で事件起きてるし
気をつけなさいよー」


すると、お母さんがリビングからひょこっと顔を出した。



「う、うん…なに?なんて…?」


「ほらー、昨日一緒にニュースで見たじゃない。
“ヴァンパイア殺人事件”って大っきいテロップの…」




        “ヴァンパイア殺人事件”



聞いた事のあるようなフレーズに首を傾げる。



「人が行方不明になったり首から血を流して
倒れてたりするあれよ!あの学校は共学だし優由も…」


「お母さん、大丈夫だよ!毎年血液検査してるし
ついこないだもしたばっかりじゃん!!」



私は見かけによらず意外と心配性な母親を
納得させるように胸の前でガッツポーズを作る。



「…もし襲ってきたら、一発殴ってからにげるのよ」


「それはまぁ、出来たら…?」



お母さん、もし私が誰かに襲われたら

多分一発殴っただけじゃ相手怯まないと思う。
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