恋とキスは背伸びして
次の日。
ミュージアムに出勤した美怜は、早速佳代に報告する。

「佳代先輩。電車で回るデートコース、昨日卓と行って来ましたよ」
「え、ほんと?!それでどうだった?」
「はい、とっても楽しかったです。あのプラネタリウム、すごいですね。あんなに素敵なところがあるなんて知りませんでした。写真展も良かったし、ランチはデザート三つも頼んじゃって、卓と半分こして食べました」

そうそう!と美怜は思い出したように付け加える。

「ルミエールのカップル向けのアイデアも浮かんだんです。客室にプラネタリウムの貸し出しをしたらどうかなって。本格的なものが売ってるかどうか、リサーチすることになって。実現するといいなあ。佳代先輩、デートプランを考えてくださってありがとうございました」
「ううん。楽しんでもらえたみたいで、私も嬉しい。卓くんも楽しんでくれてた?」
「はい。あ、でもちょっと口数少なかったかな?」
「え、そうなの?どうして?」
「うーん、何か悩み事でもあるのかな。今度会った時にさり気なく聞いてみますね」

着替えを終えてロッカーを閉め、それではお先に行ってます!とロッカールームを出て行く美怜を見送ると、佳代は、うーん…と腕を組んで考えを巡らせていた。
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