恋とキスは背伸びして
フレンチレストラン
パーティーから一週間が経ち、いつものように仕事を終えた美怜は、帰宅して夕食を食べながらのんびりくつろいでいた。

すると成瀬から、卓と三人のグループにメッセージが届く。

『成瀬です。先日のパーティーはお疲れ様でした。ありがとう。先延ばしになっていたけど、リニューアルの件のお礼を兼ねて、二人を食事に招待したい。ルミエール ホテル本館のフレンチレストランはどうかな?仕事ではないから、無理なら遠慮なく断ってくれて構わない。ご検討ください』

本館のフレンチ!と、美怜は目を輝かせる。

(ロビーラウンジのアフターヌーンティーもあんなに豪華で美味しかったもの。フレンチレストランなら、更に期待しちゃうわよねー)

ニヤニヤしながら、
『お疲れ様です。お誘いありがとうございます!フレンチレストラン、楽しみにしております!』
と、溢れんばかりの期待がうかがえる文章を送ってしまった。

しばらくすると卓からも返事が届く。

『先日のパーティーではお疲れ様でした。本部長、お気遣いいただきありがとうございます。お言葉に甘えてもよろしいでしょうか?本館のフレンチレストランは、内装も一度見てみたいと以前から思っておりました。仕事の上でも参考になりそうで、楽しみにしております。富樫』

読み終わると、美怜はギャー!と声を上げる。

「卓!こんな真面目な文面書かないでよ。私のおバカなメッセージがウキウキに浮いちゃうじゃないよー」

顔を真っ赤にしてジタバタしていると、またメッセージの着信音がした。

『二人とも返信ありがとう。料理を楽しみにしている結城さん、内装を参考にしたい富樫くん、どちらにも満足してもらえると思います。日程は今週の金曜日、十九時半に私の執務室に集合でいかがでしょうか?』

ギャー!とまたしても美怜はジタバタする。

「恥ずかし過ぎる!絶対本部長、私のメッセージ見て笑ったよね?なんなら卓も笑って、敢えて真面目な文章にしたよね?もう、二人ともヤダー!」

時間が経てば更に恥ずかしくなると思い、美怜は澄ました文面をさらりと返すことにした。

『承知いたしました。それでは当日、どうぞよろしくお願いいたします。結城』

だが送信するとまたしてもニヤニヤしながら、何を着て行こうかなー?と早速クローゼットを開けた。
< 140 / 243 >

この作品をシェア

pagetop