恋とキスは背伸びして
「いやー、パンでお腹がパンパンだ!」

成瀬の言葉に、三人はピキッと固まって食事の手を止める。

もしや…、今のって?とうつむいたまま考えていると、ダメ押しのようにまた成瀬の声がした。

「サラダ分けるから皿出して。ちゃんと野菜も食べやさい」

ブルッと三人が身震いすると、成瀬は美怜に「んんっ!」と咳払いをしてから目玉焼きを指差す。

「結城さん。君は黄身が好き?」

シーン…と時が止まり、成瀬はまたしても美怜に大きく咳払いをした。

ジロリと咎めるような視線を向けられ、美怜はハッとする。

慌ててデザートを盛り付けたお皿を指差した。

「本部長、見てください。モンブランの上に、変なもんブラーン」
「おお、上手い!座布団一枚!」

いやいやいや…と、三人は苦笑いする。

美怜は成瀬にグッと顔を近づけた。

「本部長、なんか違います」
「なんかって何?どう違うの?」
「これでは良い雰囲気どころか、寒すぎてシベリアです。目指すは常夏のハワイです」
「そうか。分かった。ホットな話題だな?ナウなギャグとか?」
「ナウもギャグも違いますっ!もう、あとで作戦会議ですからね?!」
「う、うん。分かった」

やれやれと美怜が顔を上げると、友香と卓は、ん?と怪訝そうに顔を見合わせていた。
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