恋とキスは背伸びして
二人での夕食
ロビーを横切ってオフィス棟に行こうとすると、友香に気づいたスタッフが近づいて来た。

「友香さん、お疲れ様です。よろしければお荷物お預かりしましょうか?」
「あ、ええ。お願いします」
「ではクロークに置いておきますね。どうぞごゆっくり」

スタッフは友香と卓ににこやかにお辞儀をすると、荷物を持って去って行く。

身軽になった二人はオフィスで資料だけを持つと、そのまま本館三階のイタリアンレストランに向かった。

「いつも見慣れたホテルが、軽井沢のホテルを見て来たせいか、なんだか新鮮に感じます」
「そう?それならちょっとリセットして、客観的に見られていいかもね」
「ええ。今の感覚を忘れないうちに、色々決めておきたいです」

パスタやサラダを食べながら、二人で具体的にどこにどの家具を置くかを相談していく。

「美怜さんのアイデアのステンドグラスは、すぐにでも取り入れたくて」
「そうか。それならうちの製品でステンドグラスを使っているインテリアをまとめて資料にしておくね」
「はい。それを参考に、壁のステンドグラスの柄についても検討していけたら」
「分かった。総支配人は反対されないかな?」
「ええ。私と感覚が似ているので、おそらく良いアイデアだと思ってもらえるかと。今夜にでも伝えておきますね」

概ね今後の方針が決まり、食後のデザートとコーヒーを飲みながら、友香は改めて旅行のことを振り返る。
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