恋とキスは背伸びして
(どうか見つかりますように)
あのバラのチャームは美怜にとっては、もはやなくてはならないものだった。
いつも身に着けていて、ふと目にすると気持ちが安らぐ。
手で触れていると心が落ち着き、励まされる。
そんな大切なものになっていた。
チャームくらいで大げさな…と言われず、すぐに探すと言ってくれた成瀬の言葉が嬉しかった。
(こんなことなら、ずっと大切に部屋に飾っておくべきだった?でもあれを着けているから、私は毎日明るくがんばれる。いつでも私の心の支えになってくれる大事なチャームだから)
両手を組んで祈るように電話を待つが、なかなかかかってこない。
何度も確認する時計が、いよいよ二十分経っていることを示した。
(やっぱり車の中にもなかったのかな)
そう思うと泣きそうになる。
だがいつまでも成瀬に探させる訳にはいかない。
もう諦めます、と電話をかけようとした時、ピンポンとインターホンが鳴った。
「えっ?!こんな遅くに誰?」
怖々とモニターを確認して驚き、急いで応答した。
「本部長?!」
「あったよ!チャーム」
「ほんとに?!」
美怜の目に涙が込み上げる。
「ありがとうございます。すぐに行きます!」
「だめだ。俺が行くからロックを解除して」
「は、はい」
解除のボタンを押すと待ちきれず、美怜は玄関のドアを開けて廊下に出る。
エレベーターが止まり、ドアから成瀬が姿を現した。
「こら、廊下に出ない。中に入って」
「はい」
美怜はドアを半開きにしたまま玄関に入った。
すぐに成瀬がやって来て、はい、と美怜にチャームを手渡す。
「ありがとうございますっ…」
こらえていた涙が溢れ出す。
成瀬はそんな美怜の頭をポンポンとなでた。
「良かったね、見つかって」
「はい。すみません、ご迷惑をおかけしました。車の中で落とした時、気づかなくて」
「いや、車の中にはなかったよ」
え?と美怜は顔を上げる。
「俺、君が車から降りた時、左手にチャームがあるのを見てたんだ。だから落としたとしたらきっとそのあとだと思って、車でここに戻って来たんだ。ローターリーで君を降ろした辺りを探したら、落ちてたのを見つけた」
「そうだったんですか…。ロータリーだとは思ってもみませんでした。ありがとうございました」
「気にしないで。それより、ちょっと心配だ」
成瀬の言葉に、美怜はまた、え?と顔を上げた。
成瀬は後ろ手に玄関のドアを閉めると、美怜の顔を覗き込む。
あのバラのチャームは美怜にとっては、もはやなくてはならないものだった。
いつも身に着けていて、ふと目にすると気持ちが安らぐ。
手で触れていると心が落ち着き、励まされる。
そんな大切なものになっていた。
チャームくらいで大げさな…と言われず、すぐに探すと言ってくれた成瀬の言葉が嬉しかった。
(こんなことなら、ずっと大切に部屋に飾っておくべきだった?でもあれを着けているから、私は毎日明るくがんばれる。いつでも私の心の支えになってくれる大事なチャームだから)
両手を組んで祈るように電話を待つが、なかなかかかってこない。
何度も確認する時計が、いよいよ二十分経っていることを示した。
(やっぱり車の中にもなかったのかな)
そう思うと泣きそうになる。
だがいつまでも成瀬に探させる訳にはいかない。
もう諦めます、と電話をかけようとした時、ピンポンとインターホンが鳴った。
「えっ?!こんな遅くに誰?」
怖々とモニターを確認して驚き、急いで応答した。
「本部長?!」
「あったよ!チャーム」
「ほんとに?!」
美怜の目に涙が込み上げる。
「ありがとうございます。すぐに行きます!」
「だめだ。俺が行くからロックを解除して」
「は、はい」
解除のボタンを押すと待ちきれず、美怜は玄関のドアを開けて廊下に出る。
エレベーターが止まり、ドアから成瀬が姿を現した。
「こら、廊下に出ない。中に入って」
「はい」
美怜はドアを半開きにしたまま玄関に入った。
すぐに成瀬がやって来て、はい、と美怜にチャームを手渡す。
「ありがとうございますっ…」
こらえていた涙が溢れ出す。
成瀬はそんな美怜の頭をポンポンとなでた。
「良かったね、見つかって」
「はい。すみません、ご迷惑をおかけしました。車の中で落とした時、気づかなくて」
「いや、車の中にはなかったよ」
え?と美怜は顔を上げる。
「俺、君が車から降りた時、左手にチャームがあるのを見てたんだ。だから落としたとしたらきっとそのあとだと思って、車でここに戻って来たんだ。ローターリーで君を降ろした辺りを探したら、落ちてたのを見つけた」
「そうだったんですか…。ロータリーだとは思ってもみませんでした。ありがとうございました」
「気にしないで。それより、ちょっと心配だ」
成瀬の言葉に、美怜はまた、え?と顔を上げた。
成瀬は後ろ手に玄関のドアを閉めると、美怜の顔を覗き込む。