恋とキスは背伸びして
「美怜、お疲れ様。もうマンションに着いた?」
「はい、今帰ってきました。本部長もお疲れ様です」
あれから成瀬とは一週間会っていないが、毎日必ず夜に電話をくれていた。
「どうだった?ルミエールの件。友香さん、ミュージアムに来たんだよね?」
「はい。アンティークシリーズの家具を社内で相談して決めるそうです。ステンドグラスについては、お花のシリーズのランプをサブスクリプションで契約したいと。明日にでも富樫さんと契約内容について詰めると思います」
「ああ、富樫からも報告あったよ。良い感じで進んでそうだね」
「ええ。高畑総支配人も、ステンドグラスを取り入れるのは大賛成だっておっしゃってたそうです」
「そう、良かった。それで、二人の様子はどうだった?」
少し口調を変えて聞いてきた成瀬に、美怜はふふっと笑みをもらす。
「お二人の件も、良い感じで進んでそうです」
「そうか!いやー、次に二人と会うのが楽しみだな」
「もうラブラブで、見てる私が照れちゃいました」
「へえ、いいな、富樫のやつ」
成瀬はちょっと拗ねたように言うと、美怜、と呼びかけた。
「週末、会えるかな?」
「え?はい、大丈夫です」
「ほんと?良かった。どこか行きたいところはある?」
「うーん…。あ!都内の老舗ホテルを見に行きたいです。ルミエールの参考にしたくて」
「仕事熱心だな。分かった、そうしよう。午前中はちょっと俺につき合ってもらってもいい?」
「もちろんです。どこに行くんですか?」
「車を見に行きたいんだ。実際に乗り心地とか確かめたくて」
卓に車を譲る話、本当なんだと美怜は改めて思う。
「分かりました。卓には?もう話したんですか?」
「明日、会社でつかまえられたら聞いてみるよ。友香さんとのデートに、早く車欲しいかもしれないしな」
「ふふ、いいですね、ドライブデート」
「じゃあ美怜もする?ドライブデート」
「誰と?」
「誰とって、ガーン…。ショック…」
暗い声で呟く成瀬に、美怜は慌てふためく。
「ごめんなさい!単純にそう思って言っちゃっただけなんです。特に意味はなくて」
「いや、俺がまだまだなんだな。よし!デートとくれば俺の顔が思い浮かぶようにがんばらないと。美怜、週末俺とデートしてくれる?」
「あ、はい。お願いします」
「やった!三十四年間培ってきた知恵と経験を活かし、とっておきのデートプランを考えておくよ。って、しまった。ハードルを上げてしまった」
「あはは!それダジャレですか?」
「へ?違うわ!こんな下手なダジャレは言わない」
おかしそうに笑い続ける美怜に、成瀬はふっと頬を緩めた。
「美怜に会えるだけで俺にとっては最高のデートだ。でも美怜をもっと喜ばせたい。週末、楽しみにしてる」
「はい、私も楽しみにしています」
「うん。じゃあね、おやすみ美怜」
「おやすみなさい、本部長」
電話を切ると静けさが戻り、ほんの少しだけ寂しくなる。
(でも週末会えるもんね!)
美怜は早速、何を着て行こうかと考え始めた。
「はい、今帰ってきました。本部長もお疲れ様です」
あれから成瀬とは一週間会っていないが、毎日必ず夜に電話をくれていた。
「どうだった?ルミエールの件。友香さん、ミュージアムに来たんだよね?」
「はい。アンティークシリーズの家具を社内で相談して決めるそうです。ステンドグラスについては、お花のシリーズのランプをサブスクリプションで契約したいと。明日にでも富樫さんと契約内容について詰めると思います」
「ああ、富樫からも報告あったよ。良い感じで進んでそうだね」
「ええ。高畑総支配人も、ステンドグラスを取り入れるのは大賛成だっておっしゃってたそうです」
「そう、良かった。それで、二人の様子はどうだった?」
少し口調を変えて聞いてきた成瀬に、美怜はふふっと笑みをもらす。
「お二人の件も、良い感じで進んでそうです」
「そうか!いやー、次に二人と会うのが楽しみだな」
「もうラブラブで、見てる私が照れちゃいました」
「へえ、いいな、富樫のやつ」
成瀬はちょっと拗ねたように言うと、美怜、と呼びかけた。
「週末、会えるかな?」
「え?はい、大丈夫です」
「ほんと?良かった。どこか行きたいところはある?」
「うーん…。あ!都内の老舗ホテルを見に行きたいです。ルミエールの参考にしたくて」
「仕事熱心だな。分かった、そうしよう。午前中はちょっと俺につき合ってもらってもいい?」
「もちろんです。どこに行くんですか?」
「車を見に行きたいんだ。実際に乗り心地とか確かめたくて」
卓に車を譲る話、本当なんだと美怜は改めて思う。
「分かりました。卓には?もう話したんですか?」
「明日、会社でつかまえられたら聞いてみるよ。友香さんとのデートに、早く車欲しいかもしれないしな」
「ふふ、いいですね、ドライブデート」
「じゃあ美怜もする?ドライブデート」
「誰と?」
「誰とって、ガーン…。ショック…」
暗い声で呟く成瀬に、美怜は慌てふためく。
「ごめんなさい!単純にそう思って言っちゃっただけなんです。特に意味はなくて」
「いや、俺がまだまだなんだな。よし!デートとくれば俺の顔が思い浮かぶようにがんばらないと。美怜、週末俺とデートしてくれる?」
「あ、はい。お願いします」
「やった!三十四年間培ってきた知恵と経験を活かし、とっておきのデートプランを考えておくよ。って、しまった。ハードルを上げてしまった」
「あはは!それダジャレですか?」
「へ?違うわ!こんな下手なダジャレは言わない」
おかしそうに笑い続ける美怜に、成瀬はふっと頬を緩めた。
「美怜に会えるだけで俺にとっては最高のデートだ。でも美怜をもっと喜ばせたい。週末、楽しみにしてる」
「はい、私も楽しみにしています」
「うん。じゃあね、おやすみ美怜」
「おやすみなさい、本部長」
電話を切ると静けさが戻り、ほんの少しだけ寂しくなる。
(でも週末会えるもんね!)
美怜は早速、何を着て行こうかと考え始めた。