恋とキスは背伸びして
「美怜さん、こんにちは!」
「こんにちは、友香ちゃん!」
「わー、とっても素敵なワンピースですね」
「友香ちゃんこそ、すごく可愛い」
「ずっと楽しみにしてたんです、この旅行を」
「私もよ。いーっぱい遊ぼうね!」
待ち合わせした羽田空港で、美怜と友香は手を取り合ってはしゃぐ。
そんな二人の後ろで、成瀬と卓はちょっと苦笑いを浮かべた。
「どうやら俺達は蚊帳の外らしいな」
「ですね。まあ、楽しそうな笑顔が見られるから、よしとしましょうか」
「ああ、そうだな」
とは言うものの、美怜と友香は飛行機に乗ってもホテルへ移動するバスの中でも、ずっと二人でおしゃべりしている。
「富樫、俺達透明人間にでもなったのか?」
「いや、もはや存在すら忘れられているかも?」
男同士愚痴をこぼしつつも、笑顔の二人の写真を撮っては「可愛いなあ」とニヤけていた。
やがて大きなテーマパークに到着し、運河を船で移動して園内のホテルにチェックインする。
「すごーい!まるで外国に来たみたいね、友香ちゃん」
「ええ。お花も綺麗だし建物も素敵!それにクルージングチェックインなんて、初めて」
「私もよ。優雅ねえ」
今回美怜は友香と相談し、友達とも恋人とも楽しめる、異国情緒溢れるテーマパークを旅行先に選んだ。
昼間は四人で一緒に回り、夜は二人でロマンチックな時間を過ごせたら…。
そう思っていた。
目を輝かせながら景色を眺めている二人を、成瀬と卓はヨーロッパの街並みを背景にして何枚も撮影する。
長い髪をふわりと風に揺らし、うっとりと花に見とれている二人の写真は、どれも絵になる一枚だった。
格式高い正統派ヨーロピアンスタイルのホテルにチェックインし、部屋のドアを開けた美怜と友香は、驚きの余り目を見開いた。
「す、すごい。なんて素敵なお部屋なの」
「本当に。どこかの国の宮殿みたいですね」
この日の為に卓が予約したのは、百六十五平米もあるメゾネットスイート。
一階には重厚感溢れるクラシカルなダイニングテーブルとソファが置かれ、壁一面の窓から運河が見下ろせる、まるで貴族の邸宅のようなリビングが広がっていた。
螺旋階段を上がると、そこにはベッドが二台並んだ寝室とバスルーム。
「ひゃー!壁紙もシーツもソファも可愛い!螺旋階段を上がった上に、こんなに素敵なベッドルームがあるなんて」
「もうおとぎ話のお姫様の部屋みたいですよね!」
盛り上がる女子二人に、階段の下から卓が声をかけた。
「お嬢様方、どうぞお二人でそのお部屋をお使いくださーい」
「え、いいの?」
美怜が階段の上から顔を覗かせて卓に聞く。
「ああ。俺と成瀬さんの寝室はリビングの隣にあるんだ。バストイレも一階と二階にそれぞれあるから、気兼ねなく二階を使って」
「わあ、贅沢!ありがとうね、卓」
「どういたしまして」
成瀬から車を譲ってもらうお礼にと、今回のホテルは卓が予約から支払いまで済ませていた。
「ありがとうな、富樫。まさかこんな豪華な部屋を押さえてくれてたなんて」
「いいえ。成瀬さんに譲っていただくあの車に比べたら、大したことないですけど」
「いや、全然そんなことないよ。四人で楽しく旅行できるのが何より嬉しい」
その時、螺旋階段の上から美怜と友香のひときわはしゃいだ声が上がった。
「きゃー!友香ちゃんの水着、めちゃくちゃキュート!もう卓がメロメロになっちゃうよ」
えっ!と卓の顔は一瞬にしてボン!と赤くなる。
「美怜さんのだって、とっても可愛いビキニ!ん?よく見ると大人っぽくてセクシー!」
えっ!と、今度は成瀬の顔がボン!と沸騰した。
「早くプール行こうよ」
「ええ。もうここで着替えちゃいましょうか」
「そうね」
二人のキャッキャと楽しそうな声を聞きながら、成瀬と卓はパタパタと手で顔を扇ぐ。
「成瀬さん、俺、鼻血出たらどうしよう」
「だめだ、我慢しろよ?でもまあ、とりあえずティッシュは持って行こう」
真顔で頷き合い、なんとか気持ちを落ち着かせながら成瀬と卓も水着に着替える。
その上から服を着て、四人は大きなスライダーのある屋外プールへと向かった。
「こんにちは、友香ちゃん!」
「わー、とっても素敵なワンピースですね」
「友香ちゃんこそ、すごく可愛い」
「ずっと楽しみにしてたんです、この旅行を」
「私もよ。いーっぱい遊ぼうね!」
待ち合わせした羽田空港で、美怜と友香は手を取り合ってはしゃぐ。
そんな二人の後ろで、成瀬と卓はちょっと苦笑いを浮かべた。
「どうやら俺達は蚊帳の外らしいな」
「ですね。まあ、楽しそうな笑顔が見られるから、よしとしましょうか」
「ああ、そうだな」
とは言うものの、美怜と友香は飛行機に乗ってもホテルへ移動するバスの中でも、ずっと二人でおしゃべりしている。
「富樫、俺達透明人間にでもなったのか?」
「いや、もはや存在すら忘れられているかも?」
男同士愚痴をこぼしつつも、笑顔の二人の写真を撮っては「可愛いなあ」とニヤけていた。
やがて大きなテーマパークに到着し、運河を船で移動して園内のホテルにチェックインする。
「すごーい!まるで外国に来たみたいね、友香ちゃん」
「ええ。お花も綺麗だし建物も素敵!それにクルージングチェックインなんて、初めて」
「私もよ。優雅ねえ」
今回美怜は友香と相談し、友達とも恋人とも楽しめる、異国情緒溢れるテーマパークを旅行先に選んだ。
昼間は四人で一緒に回り、夜は二人でロマンチックな時間を過ごせたら…。
そう思っていた。
目を輝かせながら景色を眺めている二人を、成瀬と卓はヨーロッパの街並みを背景にして何枚も撮影する。
長い髪をふわりと風に揺らし、うっとりと花に見とれている二人の写真は、どれも絵になる一枚だった。
格式高い正統派ヨーロピアンスタイルのホテルにチェックインし、部屋のドアを開けた美怜と友香は、驚きの余り目を見開いた。
「す、すごい。なんて素敵なお部屋なの」
「本当に。どこかの国の宮殿みたいですね」
この日の為に卓が予約したのは、百六十五平米もあるメゾネットスイート。
一階には重厚感溢れるクラシカルなダイニングテーブルとソファが置かれ、壁一面の窓から運河が見下ろせる、まるで貴族の邸宅のようなリビングが広がっていた。
螺旋階段を上がると、そこにはベッドが二台並んだ寝室とバスルーム。
「ひゃー!壁紙もシーツもソファも可愛い!螺旋階段を上がった上に、こんなに素敵なベッドルームがあるなんて」
「もうおとぎ話のお姫様の部屋みたいですよね!」
盛り上がる女子二人に、階段の下から卓が声をかけた。
「お嬢様方、どうぞお二人でそのお部屋をお使いくださーい」
「え、いいの?」
美怜が階段の上から顔を覗かせて卓に聞く。
「ああ。俺と成瀬さんの寝室はリビングの隣にあるんだ。バストイレも一階と二階にそれぞれあるから、気兼ねなく二階を使って」
「わあ、贅沢!ありがとうね、卓」
「どういたしまして」
成瀬から車を譲ってもらうお礼にと、今回のホテルは卓が予約から支払いまで済ませていた。
「ありがとうな、富樫。まさかこんな豪華な部屋を押さえてくれてたなんて」
「いいえ。成瀬さんに譲っていただくあの車に比べたら、大したことないですけど」
「いや、全然そんなことないよ。四人で楽しく旅行できるのが何より嬉しい」
その時、螺旋階段の上から美怜と友香のひときわはしゃいだ声が上がった。
「きゃー!友香ちゃんの水着、めちゃくちゃキュート!もう卓がメロメロになっちゃうよ」
えっ!と卓の顔は一瞬にしてボン!と赤くなる。
「美怜さんのだって、とっても可愛いビキニ!ん?よく見ると大人っぽくてセクシー!」
えっ!と、今度は成瀬の顔がボン!と沸騰した。
「早くプール行こうよ」
「ええ。もうここで着替えちゃいましょうか」
「そうね」
二人のキャッキャと楽しそうな声を聞きながら、成瀬と卓はパタパタと手で顔を扇ぐ。
「成瀬さん、俺、鼻血出たらどうしよう」
「だめだ、我慢しろよ?でもまあ、とりあえずティッシュは持って行こう」
真顔で頷き合い、なんとか気持ちを落ち着かせながら成瀬と卓も水着に着替える。
その上から服を着て、四人は大きなスライダーのある屋外プールへと向かった。