恋とキスは背伸びして
「わあ、幻想的で素敵…」

この時期だけのショーは、音と光と噴水がリンクしたウォーターショーだった。

色とりどりの噴水が音楽に合わせて踊るように水しぶきを上げ、水のカーテンにレーザーが美しい模様を映し出す。

ラストは壮大な音楽と共に花火が夜空を鮮やかに彩った。

目を輝かせて感激しながら空を見上げる美怜を、成瀬は優しく見つめてから肩を抱く。

少し園内を散歩したあと、ホテルの中のレストランに入った。

間接照明のロマンチックな雰囲気に包まれ、美怜は夢見心地で成瀬に見とれる。

じっと見つめていると、視線を感じたのか、成瀬がふと顔を上げた。

美怜が慌てて顔を伏せると、成瀬はふっと頬を緩めていたずらっぽい口調で言う。

「あれ?おかしいな。とっくに一時間経ったのに、可愛い鳩さん、まだ鳴かないな」

うぐっ、と美怜は言葉に詰まる。

「ちょっと今、マナーモードでして…」
「あはは!今時の鳩時計って、マナーモードもついてるんだ」
「そうなんです。TPOをわきまえた鳩なので」
「ふーん。じゃあ二人切りになったらたくさん鳴いてくれるんだろうな。楽しみだ」

どうでしょうねえ、ははは…と美怜は乾いた笑いでごまかした。
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