恋とキスは背伸びして
「お帰り、美怜。どうだった?」
「もう最高だった!トロトロに溶けちゃうかと思った」

エステとネイルを終えた美怜は、すっきりした顔で部屋に戻って来た。

心なしか肌は艶っぽく潤い、何よりとても美しい。

成瀬ははやる気持ちを抑えながら、美怜に紅茶を淹れた。

「夕食は少し早めに六時からフレンチレストランでいいかな?」
「はい!もうお腹ペコペコなの」
「え、もう?若さってすごいな」
「それは関係ないと思うけど?単に私が食いしん坊なだけで」
「そっか。それなら食いしん坊さん。綺麗な俺の美怜に変身してくれる?」
「…は?」

キョトンとする美怜に、成瀬はやれやれと肩をすくめる。

「美怜、忘れた?赤いバラのドレス。ホテルでディナーの時に、俺の前だけで着て欲しいって」
「ああ!もちろん、覚えてますとも。ちゃんと今思い出しましたよ」
「それを忘れてたって言うんだよ」
「あはは!とにかく今から着替えますね。あ、覗いちゃだめですからね!」
「分かったよ。じゃあ俺はリビングで支度してる」
「はーい」

明るく返事をすると、美怜はベッドルームに向かった。
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