恋とキスは背伸びして
コンベンションセンターのオープニングセレモニー前日は、たまたま美怜達のミュージアムも休館日だった為、チームメンバー総出で設営に当たった。

「美怜ー、パーティーエリアこんな感じでいい?」

真っ白なクロスを掛けた大きな円卓と、周りに並べられた優雅なフォルムと華やかな模様の椅子。
床には真紅のカーペットが敷き詰められたエリアに行き、美怜は大きく頷く。

「はい。佳代先輩、完璧です。ありがとうございます」

すると今度は、また別のエリアから声がかかった。

「美怜ー、アートエリアできたよー」
「はい!今行きます」

美術や絵画の展示会を想定したエリアは、形も様々なデザイナーズチェアを並べ、ユニークな形のテーブルに一輪挿しの花を飾った。

「いいですね、バッチリです。ありがとうございます、美沙先輩」

他にもホテルのラウンジをイメージした、高級感溢れる落ち着いたコーディネートのエリア。

若者達が集まるファッションショーやライブなどを想定した、ポップで明るいコーディネートのエリアも用意した。

最後に卓が、コンベンションセンターの職員に一つ一つ説明して回る。

「どれもこれも素敵ですね。これなら我々も自信を持ってマスコミに披露できます。ありがとうございました!メゾンテールさんの社名も大きく載せるよう伝えておきますね」
「ありがとうございます!明日のセレモニーのご盛会をお祈りしております」
「ありがとう」

挨拶を済ませて駅に向かうが、ひと仕事終えた達成感と安堵から、皆でそのまま飲みに行くことになった。
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