恋とキスは背伸びして
数日間に及ぶ話し合いは順調に進み、美怜は自社の強みである製品の開発からアフターサービスまでの一貫性と、多様な製品のシリーズ展開を中心としてプレゼンする内容をまとめた。

卓は、実際に契約してもらう際のプランや料金設定を細かく、かつ分かりやすく記載した資料を用意する。

あとは、後日相談し直すことになっていた、カップル向けの部屋のアイデアのみだった。

だがやはり時間を置いてみても良いアイデアは浮かばない。

卓が困ったように口を開く。

「うーん…。本部長、実際にルミエール ホテルに行ってみてもよろしいでしょうか?」
「ああ、そうだな。俺も行くつもりだったし。一人で行こうと思っていたんだが、二人も時間が許すなら同行してくれるか?」
「俺は是非一緒に行かせていただきたいです。結城さんは?」
「はい。私も現地に行って、実際のホテルの雰囲気やお客様の様子などを知りたいと思っていました。ご一緒させていただけますか?」

分かった、と成瀬は頷き、早速その日の夜に行ってみることになった。

せっかくだからと夕食もホテルのレストランで食べることになり、夜の七時に予約を入れる。

定時の六時半を過ぎると、成瀬は卓と美怜を連れて会社の地下駐車場に向かった。
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