恋とキスは背伸びして
午後になるとミュージアムの案内を抜けて、美怜は本社に向かう。

今日も本部長の執務室で、三人で打ち合わせをする予定だった。

美怜はアイデアを書き溜めておいた手帳を見返しながら、電車に揺られる。

最後にスマートフォンを取り出すと、写真のフォルダを開いた。

(本部長に送っていただいた写真、どれもよく撮れてるな)

バラの写真の他にも、クルーズの時の写真、夜景をバックにした写真などがその日のうちに送られてきて、美怜は恥ずかしさと嬉しさが入り混じったような気持ちになっていた。

(写真っていいな。これを見る度にあの時の気持ちが蘇ってきて…。そうだ!)

美怜はふと頭の中にひらめいたことを、早速手帳にメモする。

本社の最寄駅に到着すると、意気揚々と電車を降り、爽やかな秋の風を感じながら足早に歩き始めた。
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