恋とキスは背伸びして
迎えた翌週。
三人はたくさんの資料を持ってルミエール ホテルを訪れた。

「これはこれは、ようこそお越しくださいました」

倉本達四人が、エントランスで美怜達三人を出迎える。

「本日もよろしくお願いします。結城さん、今日はスーツなんですね」
「あ、はい。なんだか着慣れなくて」
「いえいえ、よくお似合いですよ。さあ、中へどうぞ」

倉本についてロビーに足を踏み入れながら、美怜は自分の姿を見下ろした。

(やっぱりスーツに着られてるって感じなのかな?)

精一杯気をつけて仕事用の装いを心がけたが、ごくたまにしか着ないスーツはなんだか浮いて見える。

(そう言えばこの間の女性、かっこ良かったな)

ふと、先日本部長の執務室で見かけた、できる大人の女性といった雰囲気の人を思い出した。

(秘書課の方かな?タブレッドでスケジュールの確認してたみたいだし。タイトスカートのスーツとハイヒールがお似合いでスラッとしてたな。フレアスカートで五cmヒールが限界の私とは大違い。ああいう人が本部長のお隣に並ぶべきよね、うん)

ついブツブツと考えてしまったが、いけないと気を取り直して、今日の打ち合わせ内容を頭の中で思い起こす。

(見た目も中身もまだまだだけど、今できることをしっかりやろう!)

気合いを入れて、美怜は成瀬と卓の後ろを歩いていった。
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