恋とキスは背伸びして
「ほう、なるほど。フォトスポットにイベントの企画、ですか」
「はい」

通された会議室で先方の四人を前に、美怜は資料を並べながら詳しく説明した。

「いいですね、是非とも取り入れたい」
「はっ?あの、よろしいのですか?ホテルの方針やポリシーなどとの兼ね合いは…」

あまりにあっさりと頷かれたことに拍子抜けして、美怜は思わず聞き返す。

「大丈夫ですよ。本館は確かに色々制約もあって、何か新しいことを企画してもなかなか実現しないのですが、アネックス館は割りと自由なんです。リニューアル内容も我々四人に一任されていますしね。みんなはどう思う?」

話を振られた若い男性二人と女性社員は、美怜が渡した資料を見ながら、うんうんと頷く。

「私もこのアイデア、いいと思います。今までフォトスポットを設けたくてもセンスがなくて難しかったんですが、メゾンテールさんの家具ならオシャレなコーナーに仕上がりそうです」
「それにこのバラの椅子、素敵ですねー。SNS映えも良さそうです」
「チャペルのコンサートも賛成です。ブライダルの良い宣伝になりますし。この時の内装も、メゾンテールさんにご協力いただけますか?」

もちろんです!と美怜は即答する。

「全面リニューアルをお手伝いさせていただく契約ですので、アネックス館全体を総合的にプロデュースさせていただければと存じます」
「それは頼もしい。では早速、館内を回りながらお話しましょうか」
「はい、よろしくお願いいたします」

そして倉本の案内で、じっくりと館内を見せてもらった。

美怜は何枚も写真を撮り、思いついたことをメモしていく。

「フォトスポットを設けるとしたら、この辺りはどうですか?ローズチェアも映えると思います」
「いいですね。ロビー業務の妨げにはなりませんか?」
「ここなら大丈夫ですよ」

ガーデンテラスやチャペルも見せてもらい、美怜は頭の中に自社のどの家具が合うかを考えていく。

後日、もう一度詳しい提案をすることにして、その日の打ち合わせを終えた。
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