恋とキスは背伸びして
一月十五日からいよいよルミエールの客室のリニューアルが始まる。
美怜達は抜かりなく準備を進め、必要な家具の手配をしていた。
「まずは初日、カップル向けの部屋をいくつか着手する。実際にやってみて初めて気づく点もあるだろうから、その後は臨機応変に改善していこう」
「はい」
成瀬の言葉に美怜と卓は頷く。
準備が整い、あとは当日を待つだけになった。
美怜が念入りに手帳を見返していると、挟んであったメモがはらりと床に落ちる。
成瀬は足元に舞い落ちてきたメモを拾って美怜に差し出した。
「はい」
「すみません、ありがとうございます。何のメモだろう?」
こうやって落ちるのを懸念して普段手帳に何かを挟むことはしない美怜は、首を傾げて手を伸ばす。
「あれじゃないか?疑似デートのプラン」
目をやった成瀬が美怜に見えるようにメモの向きを変えた。
そこには佳代の字で、『電車で行けるおすすめデートコース』とある。
「あ!そう言えば忘れてました。二ヶ月くらい前に佳代先輩からもらってたのに」
すると卓も横から覗き込んでくる。
「へえ、今度は電車で回るプランなんだ。また行ってみませんか?三人で。カップル向けの客室リニューアルの良いアイデアが浮かぶかもしれませんし」
「いや。今度は富樫と結城さん二人で行ってきたら?その為の電車で回れるコースなんだろうから。それに俺、ちょっと他の仕事が立て込んでて、しばらく時間が取れないんだ」
成瀬はそう言って少し顔をしかめる。
(そう言えばクリスマスに秘書の方が、予定が目白押しっておっしゃってたな。本部長、お忙しそう)
新年会や懇親会もあるのだろう。
ルミエールの件を手伝うだけでも大変そうだと、美怜は卓と二人で次の休日に再び疑似デートをすることになった。
美怜達は抜かりなく準備を進め、必要な家具の手配をしていた。
「まずは初日、カップル向けの部屋をいくつか着手する。実際にやってみて初めて気づく点もあるだろうから、その後は臨機応変に改善していこう」
「はい」
成瀬の言葉に美怜と卓は頷く。
準備が整い、あとは当日を待つだけになった。
美怜が念入りに手帳を見返していると、挟んであったメモがはらりと床に落ちる。
成瀬は足元に舞い落ちてきたメモを拾って美怜に差し出した。
「はい」
「すみません、ありがとうございます。何のメモだろう?」
こうやって落ちるのを懸念して普段手帳に何かを挟むことはしない美怜は、首を傾げて手を伸ばす。
「あれじゃないか?疑似デートのプラン」
目をやった成瀬が美怜に見えるようにメモの向きを変えた。
そこには佳代の字で、『電車で行けるおすすめデートコース』とある。
「あ!そう言えば忘れてました。二ヶ月くらい前に佳代先輩からもらってたのに」
すると卓も横から覗き込んでくる。
「へえ、今度は電車で回るプランなんだ。また行ってみませんか?三人で。カップル向けの客室リニューアルの良いアイデアが浮かぶかもしれませんし」
「いや。今度は富樫と結城さん二人で行ってきたら?その為の電車で回れるコースなんだろうから。それに俺、ちょっと他の仕事が立て込んでて、しばらく時間が取れないんだ」
成瀬はそう言って少し顔をしかめる。
(そう言えばクリスマスに秘書の方が、予定が目白押しっておっしゃってたな。本部長、お忙しそう)
新年会や懇親会もあるのだろう。
ルミエールの件を手伝うだけでも大変そうだと、美怜は卓と二人で次の休日に再び疑似デートをすることになった。