エリート狼営業マンの甘くてズルい魅惑の罠
「もう……ッ、紫苑くん……わたし、我慢できないのっっ」
「スミレさんの顔、エロい。すっごい――そそられる」
「あぁあっ、やだ、だめっ」
「イヤじゃないでしょ?」
私は一体、何を見せつけられているのだろうか。
父による突然の、衝撃の告白を受け、それをギリギリ維持させた精神状態で精一杯リアクションし食事を終えて、帰路に就く。
その途中、駅に向かうまでの道のりで方向を間違えた私は、人影もまばらな薄暗い路地裏へ迷い込んでしまった矢先、聞き慣れない誰かの甘い息遣いを耳にして、咄嗟に脇に隠れて、今に至る。
「いやじゃ……ない、けどッ――ぁッ」
繰り返される深い口づけと、衣服の擦れる淫靡な音。
いかがわしい行為の果てに、あられもない姿になりかけた女性は、恍惚とした蕩けた表情をして、目線の先の彼を見つめている。
――ブー、ブー、ブー
そこで長身の彼の動きをふいに遮ったのは、スマホのバイブレーション。
画面を見た男性はそれをポケットに押し戻し、一層の愛欲を求める向かいの女性の乱れた衣服をぱぱっと正した。