エリート狼営業マンの甘くてズルい魅惑の罠


そうしてしばらく私と視線を交わらせ、無言を貫いた後――


「住むところ、欲しいか?」


こちらが自然と照れてしまうような怪しくも美しい微笑を浮かべて、ふいに彼が優しい声色で尋ねた。



思わず頬が熱くなるのを感じながら、


「は、はい」


迷いなく頷くと、彼もまた「よし」小さく答えるように笑って頷く。



そして――



「なぁ、お前さ。そんなに言うならうち来いよ。仕方ねぇから当面は俺の家に泊めてやる」


「ほ、本当ですか!?」



あまり意味もしっかり理解しないうちに、反射的に私は声量を上げてそう返していた。



………ん???


そうして数秒遅れてその真意を理解した私の脳が、瞬く間にけたたましいサイレンを鳴らす。



「いやいやいや!なんでそうなる!!!!」



当面俺の家に泊める???

はい!?


付き合ってすらないどころか、今日知り合ったばかりの全くの赤の他人、しかも前日の夜にはどこかの奥様と甘い情事に耽っていた雄全開の男の家に滞在しろ、だって!?(全く忘れてない)



寝言は寝て言え!!!!


そう言い放ちかけた私よりも早く、逢崎さんは口を開く。



「新宿駅徒歩5分の超高層タワーマンション50階角部屋。オートロックの三食・風呂付き、新宿の街を一望できる最高峰の夜景付き2LDK」

「……」


私がぽかんとだらしなく口を開けて彼を見ると、ふいにふっと口角を上げて笑って続ける逢崎さん。



「安心しろよ。ただでさえ金も仕事もねぇ貧乏人から掠め取るほど、俺は金に困ってねぇよ」

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