恋とエラーと私のエゴ
序章

報告と関係性

 高校2年の冬その日はいつもと変わらない一日のはずだった。はずなのに、放課後の教室で課題をしていると桜野葵(さくらのあおい)こと私と、彼の双子である白鳥聖夜(しらとりせいや)に告げられた何気ない一言でその日常は少し崩れてしまった。
「俺、好きな人いるから。」と唐突に臨夜《いざや》が言い放つ。
……臨夜って好きな人いたんだ。そうだよね、もうみんな高校生だし、今までいなかったのがおかしいんだよね。
「そうなんだ!おめでとう好きな人いたんだね。もっと早く教えてくれてもよかったじゃん!」平然と見えるように私は彼に言う。
「そうだよーなんで僕たちにすぐ行ってくれなかったの―?で、どんな子なの?」なんて聖夜はいつも通りのんきに言っている。私とは真逆で、きっと聖夜は臨夜のことを素直に喜んでいる。だって聖夜はすごく優しいから。それは誰に対してもそう。どうして私が好きになったのは臨夜だったのだろう。その恋ももう終わってしまうけど。
「そんなの言うタイミングないし、お前らに言ったら絶対口滑らすだろ」
「そんなことしないよー僕たちをなんだと思ってるの」ちょっと怒り気味に頬を膨らませている。
「それだけ言いたかっただけだから。」そう言うと臨夜は俺バイトあるからと言い残し教室を去っていった。
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