恋とエラーと私のエゴ
目が覚めると外は暗くなっていて時計を見ると7時を過ぎていた。もうすぐ学校が閉まってしまう。前の席にいたはずの聖夜はもういない。きっと帰ってしまったんだろう。私ももうすぐ帰らないとと思い教室を後にする。暗い廊下を一人で歩いている私の足音は私の思いを受け取ってくれる人はいないのだ。貴方の思いはどこまでも一方通行で届くことはないのだと言われているようだった。そんなことを感じながら学校を後にしようとする。さっき泣いてしまったことや、聖夜が帰ってしまった事もあり、なんだか少し寂しい気がする。するとうっすら靴箱のほうから聖夜の声が聞こえてくる。「何考えてんの?お……だからこっちは……もう……には近づ…………。」なんて言ってるのかは全くわからない。もう少し近づいたら聞こえるかなと思いそっと近づくと、話し声はやんでしまった。今のは何だったんだろう。聖夜があんなに大声をあげているところを私は今まで見たことがなかった。いったい何の話を誰としてたんだろう。そんなことをのんきに考えていると、
「あーお、なに?盗み聞ぎ?」
「あっ……」気づくと聖夜はロッカーに手をついて私を見下ろす形で私の前に立っていた。急に話しかけられて言葉に詰まってしまう。
「聞いてた?今の話。」
「ううん。怒ってたのはわかったけど話は聞き取れなかった。何の話してたの?」
「それは内緒。それより盗み聞きは認めるんだー悪い子。」
「そ、そのことについてはすみません。」
「いいよ別に、怒ってないから。」そう言いながらからかっているようにクスッと笑う。
「で、なんであおはここにいるの?僕を置いて帰ろうとしてたの?」そんな捨てられた子犬みたいな目で見られるとすごく罪悪感がわいてくる。
「あ、えっと聖夜もう帰っちゃったと思ったから。」必死にほんとだよと伝える。
「僕がこんな暗い中電車も乗るのにあおを一人で帰すと思ってたの……?」
「う、うん。聖夜最近疲れてそうだったし、私寝ちゃってたからもう帰ったのかなって。」
「そっか。じゃあもう暗くなってるし帰ろっか、あお。」聖夜は私の手を握って歩き出す。
「うん。」そんな会話をして私たちは学校を後にした。
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