キミのために一生分の恋を歌う -first stage-
数分後、呼吸器内科の外来受付に到着した。

「お願いします。あの……担当の先生が変わっちゃってるようなんですが」

私が受付に声をかけると、愛想の良さそうな受付の女性がにこっと応対してくれた。

「はーい、加藤先生の患者さんですね。先生は海外に出張に行かれてまして、暫く戻って来られないんですよ。なので今回から別の先生に変わっているのでよろしくお願いしますね」
「そうなんですね。分かりました。ちなみにこの諏訪野先生って男の人ですか?」
「ええそうですよ、新しくいらした若い先生でなんと結構なイケメンですよ! 良かったですね」
「えぇ……」
「あら、嫌なのかしら。みなさん喜ぶのに珍しい……」

私はあからさまに顔に出ていたらしく、受付のお姉さんに不思議そうな顔をされる。イケメンの諏訪野先生、嫌な予感しかしない。急用とか言って逃げようかな。

『1211番の方、第1診察室にお入り下さい』

すると、男性の声でもう私を呼ぶアナウンスが流れる。
こういう時だけ呼ばれるのが早いんだもん。
しかもこの声は確実にそうだよね……なんて遠い目をしてしまう。

「美深さん……呼ばれましたよ?」
「はい、今行きます」

ニコッと笑って受付のお姉さんに頭を下げると、私は妙にドキドキする胸を抑えながら診察室の扉をノックした。
< 11 / 62 >

この作品をシェア

pagetop