キミのために一生分の恋を歌う -first stage-
気が付くと、病院の中庭へと出ていた。
滅多に走らないから、走ると流石に息が苦しい。
ベンチに座ると周りに誰も居ないことを確認してカバンからリリーバーを出して吸入する。
「ハァハァ……どうして……」
自然と涙が出てくる。
一番言われたくなかったことを、一番言われたくない人に言われた。
やさしい人なのかな、ってほんとはちょっと期待してた。
信用しはじめてた。でも、今は苦しい。
こんな顔、誰にも見られないように何度も上着の袖で顔を拭った。それでも何度だって涙は溢れてきた。
少し落ち着いたら、急いで帰ろう。
そして次は私のことを誰も知らない病院に行こう。
しっかり者の小春に相談して、名前のことを配慮してもらえる病院を探してもらったっていい。
そうだ、そうするしかないんだ。
「小夏!! 」
すると、諏訪野先生が息を切らしながら私に向かって走ってきた。
私はびっくりしてベンチから立ち上がろうとするも、酸欠なのかその場にへたりこんでしまう。
「やっと見つけた……話は最後まで聞けよ……って、発作か!? あんなに走るから」
「もういいから……来ないで!」
「そんな状態で言えることかよ」
「ごめ……なさい。でも、ガハッ…ゴホゴホ!」
私はとにかく拒絶したくて再度立ち上がろうとするも、咳が出てきて口を抑え蹲る。
諏訪野さんはあの時と同じように脈を測りつつ、ポケットから聴診器を取り出して私の胸へと当てる。
「このままでいいから。手に持ってるの、リリーバーはちゃんと吸えたんだな。えらい。酸素が足りないみたいだから、このまま少し処置室まで移動しよう」
「わかった……」
すると、先生は私のことを抱きかかえてそのまま近くの処置室まで運ぼうとした。
「重い、から……歩ける」
「ばーか、軽すぎだよ」
しっかりと抱えあげられてるから、恥ずかしくても動けない。
私は黙って身体を諏訪野さんへと預けた。
諏訪野さんの首筋辺りにちょうど顔が置かれて、ちょっとだけ汗臭いのにすごく安心する香りがしていた。
こんなに安心できる場所がまだあったんだと思った。そのまま彼の大きな背中に手を回すと意識を手放す予感を感じながら目を閉じた。
滅多に走らないから、走ると流石に息が苦しい。
ベンチに座ると周りに誰も居ないことを確認してカバンからリリーバーを出して吸入する。
「ハァハァ……どうして……」
自然と涙が出てくる。
一番言われたくなかったことを、一番言われたくない人に言われた。
やさしい人なのかな、ってほんとはちょっと期待してた。
信用しはじめてた。でも、今は苦しい。
こんな顔、誰にも見られないように何度も上着の袖で顔を拭った。それでも何度だって涙は溢れてきた。
少し落ち着いたら、急いで帰ろう。
そして次は私のことを誰も知らない病院に行こう。
しっかり者の小春に相談して、名前のことを配慮してもらえる病院を探してもらったっていい。
そうだ、そうするしかないんだ。
「小夏!! 」
すると、諏訪野先生が息を切らしながら私に向かって走ってきた。
私はびっくりしてベンチから立ち上がろうとするも、酸欠なのかその場にへたりこんでしまう。
「やっと見つけた……話は最後まで聞けよ……って、発作か!? あんなに走るから」
「もういいから……来ないで!」
「そんな状態で言えることかよ」
「ごめ……なさい。でも、ガハッ…ゴホゴホ!」
私はとにかく拒絶したくて再度立ち上がろうとするも、咳が出てきて口を抑え蹲る。
諏訪野さんはあの時と同じように脈を測りつつ、ポケットから聴診器を取り出して私の胸へと当てる。
「このままでいいから。手に持ってるの、リリーバーはちゃんと吸えたんだな。えらい。酸素が足りないみたいだから、このまま少し処置室まで移動しよう」
「わかった……」
すると、先生は私のことを抱きかかえてそのまま近くの処置室まで運ぼうとした。
「重い、から……歩ける」
「ばーか、軽すぎだよ」
しっかりと抱えあげられてるから、恥ずかしくても動けない。
私は黙って身体を諏訪野さんへと預けた。
諏訪野さんの首筋辺りにちょうど顔が置かれて、ちょっとだけ汗臭いのにすごく安心する香りがしていた。
こんなに安心できる場所がまだあったんだと思った。そのまま彼の大きな背中に手を回すと意識を手放す予感を感じながら目を閉じた。