キミのために一生分の恋を歌う -first stage-
また、あの人の声が聞こえた。
『これから先、君は大人になっていく。辛くて悲しい日もあるだろう。でも希望だけは決して忘れてはいけないよ。昨日より今日、今日より明日。君は成長していくことができる。未来をより良い一日に変えていくんだ』
分かったよ。絶対に忘れないよ。
だからこれから先もずっと歌っていけるように私のことを見守っていてねーー
次に気が付くと、おでこに心地よい冷たさを感じた。
ゆっくり目を開けると、部屋に差し込む西日がとても眩しくてもう一度目を閉じた。
少しして日差しに慣れてくると、諏訪野さんが私の顔をのぞきながら手をおでこにのせているのが分かった。
「良かった。目、覚めたみたいだね」
「……すみません。なんかまた迷惑かけちゃって」
「涙。止まらないね」
え、と思うと、私はやっと自分が泣いていたことに気が付いた。
自分の手で顔を擦ろうとしたけれど、右手には点滴が繋がっており左手には酸素を測る機械が繋がっていて、体を動かせなかった。
すると諏訪野さんはいつもより優しい瞳をしながら、涙を手で拭ってくれる。
「ごめんなさい……」
「大丈夫だよ。今辛いところは他にない? 」
「ないです。眠ったら随分身体が楽になった気がします」
「そう? 良かった」
「諏訪野さ……諏訪野先生」
「諏訪野さんでいいよ。呼び方なんて」
「じゃあ諏訪野さん、私帰らないと。きっと心配して妹……小春が待ってるから」
今度こそ起き上がろうと無理矢理身体を起こそうとすると、ちょっとだけ待ってと制されて、諏訪野さんが私の体についた管たちを外してくれた。これで自由に起き上がれる。
軽くなった体を起こして、諏訪野さんに軽く頭を下げた。
私が帰ろうとカバンを手にかけようとすると、その腕を諏訪野さんが掴んだ。
「本当はこのまま帰したくない」
「え……?」
突然強い口調で言われたのでよく分からずそのまま固まってしまう。
『これから先、君は大人になっていく。辛くて悲しい日もあるだろう。でも希望だけは決して忘れてはいけないよ。昨日より今日、今日より明日。君は成長していくことができる。未来をより良い一日に変えていくんだ』
分かったよ。絶対に忘れないよ。
だからこれから先もずっと歌っていけるように私のことを見守っていてねーー
次に気が付くと、おでこに心地よい冷たさを感じた。
ゆっくり目を開けると、部屋に差し込む西日がとても眩しくてもう一度目を閉じた。
少しして日差しに慣れてくると、諏訪野さんが私の顔をのぞきながら手をおでこにのせているのが分かった。
「良かった。目、覚めたみたいだね」
「……すみません。なんかまた迷惑かけちゃって」
「涙。止まらないね」
え、と思うと、私はやっと自分が泣いていたことに気が付いた。
自分の手で顔を擦ろうとしたけれど、右手には点滴が繋がっており左手には酸素を測る機械が繋がっていて、体を動かせなかった。
すると諏訪野さんはいつもより優しい瞳をしながら、涙を手で拭ってくれる。
「ごめんなさい……」
「大丈夫だよ。今辛いところは他にない? 」
「ないです。眠ったら随分身体が楽になった気がします」
「そう? 良かった」
「諏訪野さ……諏訪野先生」
「諏訪野さんでいいよ。呼び方なんて」
「じゃあ諏訪野さん、私帰らないと。きっと心配して妹……小春が待ってるから」
今度こそ起き上がろうと無理矢理身体を起こそうとすると、ちょっとだけ待ってと制されて、諏訪野さんが私の体についた管たちを外してくれた。これで自由に起き上がれる。
軽くなった体を起こして、諏訪野さんに軽く頭を下げた。
私が帰ろうとカバンを手にかけようとすると、その腕を諏訪野さんが掴んだ。
「本当はこのまま帰したくない」
「え……?」
突然強い口調で言われたのでよく分からずそのまま固まってしまう。