キミのために一生分の恋を歌う -first stage-
「びっくりさせてごめん。大丈夫? ちょっと隣、座るね。僕、医療従事者だから」
そう言うと彼はポケットから社員証のようなカードを見せてきた。
苦しくてよく見えなかったけど、そこには病院という文字と彼の顔写真、そして諏訪野 晴(すわの・はる)という名前が書いてあった。そのまま私は小さく頷く。
「あの……すみません……ハァハァ……いつもだから、ゴホッ……大丈夫」
そう言って私が立ち上がろうとすると、彼は私の腕を掴んでそのまままた隣へと座らせられる。
軽い力なはずなのに抗えない。
黙って腕をとられて、大きな手で握られたあとに脈を測られる。
「脈が早いな。君、それ喘息だよね。リリーバー(発作治療薬)ある? 」
「これ……ゴホゴホッ」
私はズボンのポケットからいつも持ち歩いている吸入器を出した。彼は手馴れた手つきでそれを受け取ると私の口元へとあてる。そして呼吸に合わせて何度か噴射する。
「大丈夫だから。ちゃんと吸って」
そこでいつの間にか彼がずっと自分の手を握っていて、私もすごい力で握り返していたことに気が付いた。慌てて手を離そうとするも彼の力も強く離してくれない。
5分くらいしてやっと呼吸が落ち着いてきた頃、彼は自然と手を離してくれた。
そう言うと彼はポケットから社員証のようなカードを見せてきた。
苦しくてよく見えなかったけど、そこには病院という文字と彼の顔写真、そして諏訪野 晴(すわの・はる)という名前が書いてあった。そのまま私は小さく頷く。
「あの……すみません……ハァハァ……いつもだから、ゴホッ……大丈夫」
そう言って私が立ち上がろうとすると、彼は私の腕を掴んでそのまままた隣へと座らせられる。
軽い力なはずなのに抗えない。
黙って腕をとられて、大きな手で握られたあとに脈を測られる。
「脈が早いな。君、それ喘息だよね。リリーバー(発作治療薬)ある? 」
「これ……ゴホゴホッ」
私はズボンのポケットからいつも持ち歩いている吸入器を出した。彼は手馴れた手つきでそれを受け取ると私の口元へとあてる。そして呼吸に合わせて何度か噴射する。
「大丈夫だから。ちゃんと吸って」
そこでいつの間にか彼がずっと自分の手を握っていて、私もすごい力で握り返していたことに気が付いた。慌てて手を離そうとするも彼の力も強く離してくれない。
5分くらいしてやっと呼吸が落ち着いてきた頃、彼は自然と手を離してくれた。