キミのために一生分の恋を歌う -first stage-
「お姉ちゃん!」
誰かに肩を叩かれた感覚があってぼーっとしながら目を覚ますと、小春が心配そうに私の顔を覗き込んでいる。
「小春……? おはよう」
「お姉ちゃん、諏訪野先生もう帰るって。お見送りしなくていいの?」
「ん? って……諏訪野さん!?」
「こらこら、身体がびっくりするからいきなり起き上がらないよ」
ガバッと私が身体を起こすと、諏訪野さんに軽くたしなめれる。確かに少し動悸を感じたが、いつものことなので軽く受け流す。
「いつの間に2人は一緒になってたの?」
「んー? 私が30分くらい前かな? お姉ちゃんが心配で塾から早く帰ってきたら先生がいるんだもん。ご挨拶して少し話してたよ。でもふふふ。諏訪野先生ってすっごくイケメンだね!」
「小春さんもすごくお姉さんに似て、素敵ですね」
「そう。何かもう勝手に仲良くなってたのね」
「まぁまぁ、お姉ちゃんのことで意気投合しただけだよ。言わばお姉ちゃん同盟だね!」
「何それ」
3人で笑いあった。何気ない時間が全部特別に感じた。
「じゃあ、小夏。僕はそろそろ病院へ帰るからね。また明日、10時に予約しておいたから」
「あ、うん。あの、玄関まで送る」
「ありがとう」
私はベッドから立ち上がる。
小春は察したように諏訪野さんへ頭を下げると、リビングへと戻った。
諏訪野さんから借りた上着を着て、諏訪野さんと一緒に家の玄関を出て、エレベーターのボタンを押す。
「小春さんから詳しく聞いたよ。まずはショッピングモールでミニライブをするんだね。その後のドームのことも」
「うん。まだハッキリしてないから言えなくてごめんなさい」
「あの感じだとほぼ決まりだよ。bihukaは小夏が思ってるより引っ張りだこなんだよ。どこだって喉から手が出るほど欲しいはずだよ」
「ふふ。そうなのかな」
エレベーターがロビー階まで到着した。
もうすぐ本当にお別れの時間。
「今度そのモールにも一緒に行ってみようか。近くに海もあるみたいだ」
「うん! 諏訪野さん……あのね」
「なに?」
「デート、みたいだね!」
「そのつもりでいてね。その日は小夏のこと、独り占めしたいから」
エレベーターの影で見えないように、諏訪野さんは私の耳元で囁いた。
諏訪野さんは今どんな顔してるのかな?
「じゃあ、約束だね」
私たちは小指を絡ませた。
約束がたまっていく。諏訪野さんと私だけの。
「ここまででいいよ。今日はゆっくり休んでね」
「うん。また」
私が上着を脱いで渡そうとすると、肌寒いから着てなさいと制される。洗って返しますと伝え、諏訪野さんと別れた。
私はその上着を抱きしめた。
上着には諏訪野さんの香りがわずかに残っていて、いつまでも消えてくれなかった。
誰かに肩を叩かれた感覚があってぼーっとしながら目を覚ますと、小春が心配そうに私の顔を覗き込んでいる。
「小春……? おはよう」
「お姉ちゃん、諏訪野先生もう帰るって。お見送りしなくていいの?」
「ん? って……諏訪野さん!?」
「こらこら、身体がびっくりするからいきなり起き上がらないよ」
ガバッと私が身体を起こすと、諏訪野さんに軽くたしなめれる。確かに少し動悸を感じたが、いつものことなので軽く受け流す。
「いつの間に2人は一緒になってたの?」
「んー? 私が30分くらい前かな? お姉ちゃんが心配で塾から早く帰ってきたら先生がいるんだもん。ご挨拶して少し話してたよ。でもふふふ。諏訪野先生ってすっごくイケメンだね!」
「小春さんもすごくお姉さんに似て、素敵ですね」
「そう。何かもう勝手に仲良くなってたのね」
「まぁまぁ、お姉ちゃんのことで意気投合しただけだよ。言わばお姉ちゃん同盟だね!」
「何それ」
3人で笑いあった。何気ない時間が全部特別に感じた。
「じゃあ、小夏。僕はそろそろ病院へ帰るからね。また明日、10時に予約しておいたから」
「あ、うん。あの、玄関まで送る」
「ありがとう」
私はベッドから立ち上がる。
小春は察したように諏訪野さんへ頭を下げると、リビングへと戻った。
諏訪野さんから借りた上着を着て、諏訪野さんと一緒に家の玄関を出て、エレベーターのボタンを押す。
「小春さんから詳しく聞いたよ。まずはショッピングモールでミニライブをするんだね。その後のドームのことも」
「うん。まだハッキリしてないから言えなくてごめんなさい」
「あの感じだとほぼ決まりだよ。bihukaは小夏が思ってるより引っ張りだこなんだよ。どこだって喉から手が出るほど欲しいはずだよ」
「ふふ。そうなのかな」
エレベーターがロビー階まで到着した。
もうすぐ本当にお別れの時間。
「今度そのモールにも一緒に行ってみようか。近くに海もあるみたいだ」
「うん! 諏訪野さん……あのね」
「なに?」
「デート、みたいだね!」
「そのつもりでいてね。その日は小夏のこと、独り占めしたいから」
エレベーターの影で見えないように、諏訪野さんは私の耳元で囁いた。
諏訪野さんは今どんな顔してるのかな?
「じゃあ、約束だね」
私たちは小指を絡ませた。
約束がたまっていく。諏訪野さんと私だけの。
「ここまででいいよ。今日はゆっくり休んでね」
「うん。また」
私が上着を脱いで渡そうとすると、肌寒いから着てなさいと制される。洗って返しますと伝え、諏訪野さんと別れた。
私はその上着を抱きしめた。
上着には諏訪野さんの香りがわずかに残っていて、いつまでも消えてくれなかった。