キミのために一生分の恋を歌う
4. edge of…
朝、目が覚めると差し込む朝日が眩しくて今日も一日晴れなのだと教えてくれる。
昨日も病院に行ったから、身体は少し楽になっていた。
目を擦りながらスマホの画面を付けると、諏訪野さんからメッセージが入っていた。ついニヤニヤとしてしまう。

『おはよう。今日はウォーキングは中止して朝ごはんをゆっくり食べて薬飲んでから病院に来ること。診察の前に処置室に寄ってネブライザーしてきてね。そのあと受付してくれたら呼ぶよ』

私は直ぐに返事を打ち込む。

『おはようございます! 了解。でもぜんぶお医者さんって感じ』
『お医者さんだからね』
『そんなだからゆかさんにクソ真面目って言われちゃうんだよ』
『だからクソはついてないし。ていうか小夏だって”自称”クソ真面目なんでしょ』
『もう!』

怒ってるスタンプを送ると、向こうからなでなでと頭を撫でるスタンプがすぐ返される。
私はそれを見て、メッセージアプリを閉じた。ほんと、敵わないなぁ。

「お姉ちゃんおは〜」
「小春、おはよ。今日も部活?」

リビングにはいつものように制服を着た小春。
朝ごはんもバッチリ用意済み。
我ながら完璧な妹だ。

「うん、午後はちょっと打ち合わせ」
「もしかしてライブのこと?」
「そう、本決まりになりそうだから話詰めてくるね」
「任せちゃっていいの?」
「ねぇ、お姉ちゃんは今日も病院なんだからね? 自覚持って治療してきて下さい」
「はーい。でもごめんね?」
「ううん。これからはたくさん頼むこともあると思うから。その時のためにしっかり治療と諏訪野先生を充電してきなよ」
「ふふ何それ」

分かってるんだか、分かってないんだか。
朝食はそこだからねーと指さしながら、足早に小春は中学へと登校して行った。
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