キミのために一生分の恋を歌う -first stage-
翌日、ある程度元気になった私はすみちゃん家の車に乗って、別荘にやってきた。
とある有名な高原にそびえるその別荘はとても立派な佇まいで、すみちゃんとは夏休みをはじめ長期の休みの際、よく遊びにきていた。
広い庭のあるお家だから、もちろんワンコの麦も一緒に来ている。
「諏訪野さんは小夏にとってよっぽどいい人なんだね」
「え……?」
突拍子もなくすみちゃんが言ったので、ビックリして声が出た。
「だって、最近の小夏すごい元気そう。健康そうって意味でもあるけど、それだけじゃなくてさ。心から幸せ〜って感じ!」
「そうかな」
「そうだよ。オーラが違うって言うか。あのさ、恋してるんでしょ」
「え、あの。でも、多分……そうなのかな」
「ふふ。初々しいったらないね」
別荘に着いてすぐ、待ちきれない様子の麦を庭に放した。
走り回って喜んでいる。
その庭の中には小さなプールもあって、しっかり管理されているのか清らかな水で満たされていた。
パラソルの下にはゆったりと座れるソファがあり、2人でそこに座る。
どうぞ、とどこからともなくすみちゃん家の人がやって来て飲み物を運んでくれる。
「ここで話しても大丈夫? 身体、辛くない?」
「全然平気。むしろ最近、家か病院にしか居なかったからすごく落ち着く」
「小夏も大変だねぇ」
「そうだよぉ。あのね、すみちゃん。この前公園でも言われたけど私ずっとすみちゃんに伝えたいことがあったの」
「うん。教えて?」
いざ話すとなると、緊張してしまう。すみちゃんなら絶対大丈夫なのに、嫌な気持ちにさせないかなと考えてしまう。
「小夏、ゆっくりでいいから」
震える手をすみちゃんのあたたかな手が包み込んでくれた。
「すみちゃんはbihukaって歌手知ってる?」
「……うん。よく知ってる」
「その、ね。私なのbihuka」
「……うん。分かってた。だってうち、ずっと小夏のそばにいるんだもん。でも、きっと言えない理由があるんだろうって思ってた」
「ずっと黙っててごめんね」
「うんうん。でも、どうして今まで言わなかったのに」
「bihukaはね、この夏で解散なの。もうやめるんだ」
「え、どうして?!」
「諏訪野さんが言うの。もう私の身体がもたないって」
「そっか。じゃあ多分きっとどうしようもないことなんだね。だって諏訪野さんは、小夏のこと本気で考えてくれてる人だから。話に聞いてれば分かるよ」
「うん……」
「うちもだから。小夏に言えなかったことがあるんだ」
とある有名な高原にそびえるその別荘はとても立派な佇まいで、すみちゃんとは夏休みをはじめ長期の休みの際、よく遊びにきていた。
広い庭のあるお家だから、もちろんワンコの麦も一緒に来ている。
「諏訪野さんは小夏にとってよっぽどいい人なんだね」
「え……?」
突拍子もなくすみちゃんが言ったので、ビックリして声が出た。
「だって、最近の小夏すごい元気そう。健康そうって意味でもあるけど、それだけじゃなくてさ。心から幸せ〜って感じ!」
「そうかな」
「そうだよ。オーラが違うって言うか。あのさ、恋してるんでしょ」
「え、あの。でも、多分……そうなのかな」
「ふふ。初々しいったらないね」
別荘に着いてすぐ、待ちきれない様子の麦を庭に放した。
走り回って喜んでいる。
その庭の中には小さなプールもあって、しっかり管理されているのか清らかな水で満たされていた。
パラソルの下にはゆったりと座れるソファがあり、2人でそこに座る。
どうぞ、とどこからともなくすみちゃん家の人がやって来て飲み物を運んでくれる。
「ここで話しても大丈夫? 身体、辛くない?」
「全然平気。むしろ最近、家か病院にしか居なかったからすごく落ち着く」
「小夏も大変だねぇ」
「そうだよぉ。あのね、すみちゃん。この前公園でも言われたけど私ずっとすみちゃんに伝えたいことがあったの」
「うん。教えて?」
いざ話すとなると、緊張してしまう。すみちゃんなら絶対大丈夫なのに、嫌な気持ちにさせないかなと考えてしまう。
「小夏、ゆっくりでいいから」
震える手をすみちゃんのあたたかな手が包み込んでくれた。
「すみちゃんはbihukaって歌手知ってる?」
「……うん。よく知ってる」
「その、ね。私なのbihuka」
「……うん。分かってた。だってうち、ずっと小夏のそばにいるんだもん。でも、きっと言えない理由があるんだろうって思ってた」
「ずっと黙っててごめんね」
「うんうん。でも、どうして今まで言わなかったのに」
「bihukaはね、この夏で解散なの。もうやめるんだ」
「え、どうして?!」
「諏訪野さんが言うの。もう私の身体がもたないって」
「そっか。じゃあ多分きっとどうしようもないことなんだね。だって諏訪野さんは、小夏のこと本気で考えてくれてる人だから。話に聞いてれば分かるよ」
「うん……」
「うちもだから。小夏に言えなかったことがあるんだ」