キミのために一生分の恋を歌う
2. 再び
あの日、諏訪野さんに初めて出会った日。
何とか学校へ行って、担任から通知表を貰い(評価はまぁまぁだった)夏休みに入った。
お疲れ様会っていうのは咄嗟についた嘘だったけど、放課後は違うクラスのすみちゃんと合流してカフェでお茶をした。その時に諏訪野さんと出会ったときのことを話した。そしたらすごく心配された上、細かなことまで根掘り葉掘り洗いざらい吐かされた。
「何でもなくて良かったけど、小夏は知らない人を信用し過ぎ」
とちょっと怒られてしまった。
確かに私の通ってる高校は女子校だし、最近は男の人とまともに話したことさえないから、警戒心とか免疫とか全然ないかも。
「でも悪い人には見えなかったんだよねぇ……」
「誰が?」
ただの独り言だったつもりが、隣に居た2つ下の妹にはしっかり聞かれていたようだ。私によく似た顔だけど、中身は真逆で、気が強くて元気でしっかり者の可愛い妹。短い髪とテニス部の活動で少し焼けた肌が良く似合う。
「小春(こはる)〜、何でもないよ」
「そう? じゃあさ、めでたく夏休みに入ったしたくさん曲作りしたいんだけど。この間お姉ちゃんから貰った歌詞で試しに作ってみたの3曲くらいあるから後で聴いて、気に入ったのあったら声を入れて欲しい」
「ありがとう! もう出来たんだね」
美深小春は私の妹であり、実質マネージャー兼プロデューサーのような頼りになる存在だ。歌詞と歌声は私が入れるけれど、小春がそれに合わせて楽曲を作り、編曲し、各種サイトにアップしてくれている。外部のスタッフとの連絡やデザイン系までもすべてやってくれている。
「好きでやってるし、それがお姉ちゃんの力になれて嬉しい」と小春は言うけれど、嬉しいのはこちらのセリフだ。妹なのに姉らしいのはよっぽど小春の方で。体力がない私のサポートもしてくれて、エネルギーの塊の小春がいなければbihukaは存在すらしてなかった。感謝してもしきれない。
「小春、私頑張って歌うから。この夏はさ、みんなが絶対に忘れられないくらいいっぱいの幸せを歌に込めて届けたいの」
「お姉ちゃん……頑張るのはいいけど、なんか死に際の主人公が言いそうなこと言わないでよ」
「ふふ。なにそれ、私死亡フラグ立てちゃってる?」
「すっごい立ってるね」
私そんなつもりないし勝手に変なフラグ立てないでよって怒りながら、小春にデコピンした。
小春も笑いながらやり返してくる。そんな夏休みの始まり。私はとてもワクワクしていた。
何とか学校へ行って、担任から通知表を貰い(評価はまぁまぁだった)夏休みに入った。
お疲れ様会っていうのは咄嗟についた嘘だったけど、放課後は違うクラスのすみちゃんと合流してカフェでお茶をした。その時に諏訪野さんと出会ったときのことを話した。そしたらすごく心配された上、細かなことまで根掘り葉掘り洗いざらい吐かされた。
「何でもなくて良かったけど、小夏は知らない人を信用し過ぎ」
とちょっと怒られてしまった。
確かに私の通ってる高校は女子校だし、最近は男の人とまともに話したことさえないから、警戒心とか免疫とか全然ないかも。
「でも悪い人には見えなかったんだよねぇ……」
「誰が?」
ただの独り言だったつもりが、隣に居た2つ下の妹にはしっかり聞かれていたようだ。私によく似た顔だけど、中身は真逆で、気が強くて元気でしっかり者の可愛い妹。短い髪とテニス部の活動で少し焼けた肌が良く似合う。
「小春(こはる)〜、何でもないよ」
「そう? じゃあさ、めでたく夏休みに入ったしたくさん曲作りしたいんだけど。この間お姉ちゃんから貰った歌詞で試しに作ってみたの3曲くらいあるから後で聴いて、気に入ったのあったら声を入れて欲しい」
「ありがとう! もう出来たんだね」
美深小春は私の妹であり、実質マネージャー兼プロデューサーのような頼りになる存在だ。歌詞と歌声は私が入れるけれど、小春がそれに合わせて楽曲を作り、編曲し、各種サイトにアップしてくれている。外部のスタッフとの連絡やデザイン系までもすべてやってくれている。
「好きでやってるし、それがお姉ちゃんの力になれて嬉しい」と小春は言うけれど、嬉しいのはこちらのセリフだ。妹なのに姉らしいのはよっぽど小春の方で。体力がない私のサポートもしてくれて、エネルギーの塊の小春がいなければbihukaは存在すらしてなかった。感謝してもしきれない。
「小春、私頑張って歌うから。この夏はさ、みんなが絶対に忘れられないくらいいっぱいの幸せを歌に込めて届けたいの」
「お姉ちゃん……頑張るのはいいけど、なんか死に際の主人公が言いそうなこと言わないでよ」
「ふふ。なにそれ、私死亡フラグ立てちゃってる?」
「すっごい立ってるね」
私そんなつもりないし勝手に変なフラグ立てないでよって怒りながら、小春にデコピンした。
小春も笑いながらやり返してくる。そんな夏休みの始まり。私はとてもワクワクしていた。