もう1人の自分が恋をしたあなたは、もう1人の自分を持っている
家族と呼べる人が急死した。
高校1年の冬だった。

"クリスマスケーキ、輝夜の誕生日だから誕生日ケーキ、一緒に買いに行こうね"

前日そんな会話をしてた。


朝起きるといつも先に起きているはずのその人の姿がない。


(寒いからまだ寝てる…とか?)


私はポットでお湯を沸かしココアを飲みつつ、どうせなら朝ごはんを作って驚かせようなんて考えて玉子焼きと野菜炒めを作った。
ご飯は、冷凍のご飯があるから大丈夫か…!

どんな反応するかな…?


いつもはお手伝い1つしようとすると、座ってなさい!って言われるから…。



そろそろ起こしに行こうと、その人の部屋へと向かう。




その時にはもう帰らぬ人になっていた。




脳の血管の破裂。
出血量が酷かったらしい。
死亡推定時間は真夜中、寝ている最中だ。

気づくことが出来なかった。


その人には家族はいなかった。

私たちは似た者同士だったのだと、その人が死んでから知った。


平然を装いながら生きていく。

でも貯金通帳を見ると数字が日に日に減っていく。


私の中にあったのは"不安"だった。

悲しんでいる暇などなかった。

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