隣人はだらしない‥‥でも
決して大きなデザイン会社ではない。
それでも、それぞれが分野を活かして
やっている為、暇な日はなさそうに
感じるまま1週間が過ぎていった。



「はぁ‥‥終わった‥‥」


残業は殆どないものの、
やることに慣れてなくて、要領が
まだまだ悪いから1日が瞬足で
終わってしまう


週末はゆっくり休んで、また
来週から切り替えて頑張らないとな‥


『お疲れ様。この後みんなで
 ご飯行くけど茅葵さんもどう?』


えっ?


一昨日初めて入った隣の部屋は、
当たり前だけど同じ間取りで、
広めの大きな8人がけテーブルと
椅子が置かれているのみで、
寝室スペースにはシングルベッドが
2つあるのみのシンプルな部屋だった


掃除も殆ど汚れてないから、
毎週一度大変かと思いきやラクで、
これで家賃が無料なら全然やれると
思えた。


「行きたいですが、思いの外
 クタクタで‥‥。
 誘っていただいたのにすみません。
 楽しんで来てくださいね。」


山岡さんとも、仕事中はおふざけなしで
宣言通り、程よい厳しさと丁寧さで
大変なりに楽しく過ごせている


今月は仕事に慣れて、来月から
少しずつデザインの勉強もさせて
貰えると聞いてるし、早く色々こなして
頑張ろう‥‥


『そっか、残念だけどゆっくり休んで。
 慣れない仕事でよく頑張ったね。』


トクン


私の肩を軽くポンっと
触れられただけなのに、相変わらず
綺麗な顔して笑うので、不謹慎にも
ドキッとしてしまう


『茅葵ちゃん行かないの?
 俺楽しみにしてたのに。』


「ハギさんすみません。
 また次は行きますから一緒に
 ご飯に行かせて下さいね。」


天音さんは日帰り出張でそのまま
合流されるみたいで、みんな帰り
支度をし始めたので、私も戸締りや、
消し忘れがないかチェックをしてから
入り口に向かった。


「ユイさん達はもう先に
 行かれたんですか?」


電気を消したオフィスに鍵をかけて
いる山岡さんが1人だけで、ハギさんも
見当たらない


『ハギに誘われたらあんなに
 嬉しそうな顔して返事するんだな?』


「えっ?そんな顔してました?」


わざと聞こえるくらい大きな溜め息を
吐かれると、オフモードに変わった
山岡さんを見上げた


疲れてたから、普通に話してた
だけの気がしたけど、何にそんなに
怒ってるのか分からない


『俺のことはあからさまに避けてる
 のに、ハギと態度が違いすぎなのは
 どうしてだ?』


ギクッ
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